On Off and Beyond: 自動的専業分業アリ社会

http://www.chikawatanabe.com/blog/2003/12/post_4.html

「働きアリは、どうやってタスク分担をするか」というテーマである。

1.アリのキャリアパス
■働きアリには、食べ物を探したり外部の異常を感知する偵察アリ、食べ物を運んでくるアリ、巣の修復を行うアリ、ゴミ掃除をするアリ、の4種類がいる
■それぞれのアリは専業で、修復アリが食べ物を探しに行ったりしない
■特定業務に特化したアリが生まれるわけではなく、約1年の生涯を通じ、一定のキャリアパスに従って仕事を移っていく
■巣の表にいる時間が増えると、その風に当たることで体の表面が乾き、体表面の化学組成が変化する。で、その化学組成によって、違う「匂い」が生じる
■体の匂いによって、どの仕事をするか決まる。例えば、巣の中にいることの多い修復アリが、外に土を運び出したりしながら表にいる時間が増えることで、食べ物アリ、偵察アリへと「昇進」していく。

まず、ここまでで「なるほど!」という感じだが、ここからがポイント。

2.アリのタスク分担
■偵察アリが帰ってこないと、食物アリは行動しない。巣の周りに障害物があって修復アリがそれをどけている間は、偵察アリは巣の中にこもっている。つまり、「異業種間での仕事量連携」が行われている
■しかし、「さぁ、修復だ」とか「偵察部隊出動!」などと指示を出す指令アリはいない
■アリは業務ごとに違う匂いだが、特定のアリが自分の仕事をするかどうかは、「どの匂いのアリに」「どれくらいの頻度で出会うか」という二つだけで決まっている
■試しに、偵察アリの匂いのビーズを巣にポコポコと落としたら、食べ物アリがぞろぞろ出動してきた


ちなみに、「全然何もしていないアリ」というのも莫大に巣の中でゴロゴロしているんだそうだ。どうもずっと何もしていないらしい。(ここで聴衆一同大笑い。)理由は今のところ不明で、「匂いによる出動情報伝達メカニズム」において、何らかのバッファーとなっているのでは、ということだった。